ポジショニングについて解説します。
ポジショニングとは、競合他社の製品と自社の製品との相対的な位置のことです。
軸の取り方や比較する対象によって、自社の製品のポジショニングは右にも左にも上にも下にも変動します。
例えば、体重が80 kg の40歳男性 Aさんがいたとします。
日本の40歳平均の 体重は約70 kg なので 、Aさんは体重という軸では、日本においては総体的に重い方にポジショニングされます。
しかしアメリカ人と比べたらどうでしょう。
アメリカ人の男性の平均体重は90 kg 近くあるため 、Aさんはアメリカにおいてはやや軽い方にポジショニングされます。
ポジショニングマップを作るポジショニングのイメージは大体つかめたでしょう。
ポジショニングマップ
それでは次に、マーケティングの世界でよく使うポジショニングマップについて解説します。
ポジショニングマップとは縦軸と横軸に線を引き自社の製品がどのポジションにいるかを示す図のことです。
機能的な価値と感情的な価値ポジショニングマップを作成する際にまず重要なことは、何を縦軸と横軸に当てはめるかを決めることです。
フレームワークにおけるWHATを軸にするのが正しい使い方です。
WHATとは先に解説した通り、商品やサービスが顧客に与える価値のことです。
この価値は「機能的価値」と「感情的価値」に分けられます。
ここでは、車を例として機能的価値と感情的価値について少し補足しておきます。
車の機能的価値とは「ハンドルが軽い」「座り心地がよい」「夜になると自動でランプがつく」など運転する人によって、便利や楽と感じる車に装備された機能が価値を生み出してくれることを示します。
一方感情的価値とは乗っているだけで「ステータスだ」などと高級車に乗っているだけで自分に自信が湧いたり、あるいは周りからの人からかっこいいと思われることで優越感を感じたりといった顧客の感情に対して与えられる価値のことを示します。
時計の機能的価値は、「正確な時間」「電池交換がいらない」などです。
感情的価値は、「高級感」「優越感」などです。
アップルウォッチVSロレックスが容易に想像できるでしょう。
感情的価値を軸にポジショニングマップを考えるマーケティングフレームのWHATとHOWの解説にも連動関連しますが、機能的価値より感情的価値にフォーカスしたコミュニケーションの方が消費者の心を動かすためには適しています。
ポジショニングを考える際は、少なくとも一つの軸にこの感情的価値を当てはめるのが正しい方法です。
もう一つの軸が差別化
機能的価値と感情的価値と同じように大切なのが、「差別化」です。
差別化をどのように考えればいいのか?
外食するときの気分を思い浮かべてください。
- 仕事の合間の昼食…手軽に済ませられるお店
- 彼女との初デート…オシャレなお店
- 友だちの飲み会…気心知れたお店
これらは、その時の状況や気分で求めている価値が変わるはずです。
3つの差別化戦略
- 手軽軸…手軽に済ませたいというベネフィット
- 商品軸…良い商品やサービス
- 密着軸…顧客に密着することで差別化
忙しいから、給料日だから、家から近いから、テレビで紹介されていたから、がんばった褒美にとその時の気分で求めているものは変わりますが、この3つの軸で差別化することが来ます。
この軸のどの差別化戦略を採用するかは、マーケティングはもちろん、人事、組織など経営全体にかかわる重要な選択です。
3つの差別化戦略をすべて行うことは不可能です。
差別化するには通常は一つの軸に絞ります。
その中で際立った個性が重要でそれが差別化のポイントとなります。
ただし、3つの軸とも平均点以上は必須です。