通販は基本的に初回購入の顧客獲得に投資し、リピート&クロス販売の利益で回収していく商売です。
どの商売もそうですが、顧客リストが命なのです。
新規顧客への初回の販売では利益が出るどころか、ほとんどの場合で初回売上は新規顧客獲得費用を上回ることはありません。
ネット通販の釣り方については、以前ご紹介した記事をご覧ください。
新たな顧客を10,000円の費用をかけて獲得したところ、初回の受注で得られた売上は1,500円、粗利は1,000円といった具合です。
新規顧客獲得費用> 初回受注単価
この損を初回以降の受注で埋めていくのですが、換言すれば先行する投資をリピート購入の売上•利益で回収するという仕組みになっています。
新規顧客の初回購入を獲得する投資(広告費)がCPOで、初回購入以降の顧客からの累積の売上がLTVです。
CPO: Cost Per Order—顧客一人あたり獲得費用
LTV: Life Time Value—累積客単価
このような投資・回収の事情は何も通販だけでいわれているわけではありません。
エ場に投資して生産した商品の販売で回収する、飲食店も店を作って3年で回収する、コピー機・携帯電話を安く売ってメンテ・通信費で利益を出す。
多くの商売は、先行投資からはじまります。
というよりも利益の獲得に先んじて投資が要るのはあたりまえのことなのです。
通販の場合は、先行投資の対象が設備などではなく顧客のリストだという点に特徴があるため、このあたりまえが見えにくくなっています。
ここから「通販は特殊なビジネスだ、むずかしい商売だ」という誤解が広がっているのかもしれません。
むしろ通信販売はある意味、とてもわかりやすい商売です。
通販事業でおもに使う二つのKPI(重要事業中間指標)であるCPOとLTVが、事業運営でことのほか使い勝手がよいのです。
通販主要KPIであるCPOとLTVの特徴
- 重要な事業指標が即時に定量的に把握できる。
- また、それが事業採算に直結している。
- 過去実績をもとに中期的な見通しが立てやすい。
他の事業指標の例で言うと、生活用品のメーカーにとって商品ブランドの認知率はかなり大切なKPI一つです。
しかしその把握にはリサーチの必要性があり、計測・把握は遅延します。
また認知獲得のための投資が過去の実績と同じ成果をもたらすどうか、再現性は高くないという難点もある。
さらには投資で認知を向上させると、どれだけ商品が売れるのか、事業でリターンが得られるのか、ただちに判明するものではありません。
例えばテレビCM。
直接テレビで販売していなので、数値での効果はわかりにくいです。
だけど、認知を広げるもっとも有効な手段ですが、広告費が高いです。
こういった事態と比べると通販で使うKPI、CPOとLTVが事業の運営にとって、いかにありがたいものかがわかります。
これがネットの良さです。
このCPOとLTVはすぐに数字で把握でき、事業採算に直結して、予測可能な指標だからです。
さまざまな施策を実施してその都度に評価する、計画を立てて投資する。
CDCAサイクルを回していきやすいです。
これによりCPOを可能な限り下げて、LTVをできるだけ上げていく。
これが通販事業の運営の根幹です。
通販事業の成長は、この二つのKPIの理解と活用から始まります。