採算計画・管理でCPOと両輪になるKPIがLTVです。
LTV・累積客単価は使われ方がさまざまで、CPOと比べると必ずしも安定した定義のある概念ではありません。
ですので、いつまでに利益を確保したいかで話が変わってきます。
新規に獲得した顧客から初回の購入があったのち2回目.3回目の購入、リピートやクロス商品の購入が続きます。
ただし顧客のすべてがリビート・クロス購入するわけではありません。
商品が気に入らなかった、消費スパンがゆっくりで余った、のちには飽きたなどの理由で、月を重ねるにつれて受注はしだいに減っていきます。
いわいる離脱です。
初月の稼働率100%に対して、翌月は35%の稼働率で、翌々月は32%、12ヶ月目には15%といった具合です。
それによる月別の獲得顧客一人あたりの平均の売上•利益の経過の例を示すと以下のようになります。
ここでは受注単価• 利益率は初回から一定(受注単価6,000 円• 原価販管費率60%) にしています。
この例では獲得顧客あたり平均の初回• 初月売上が6,000円、2ヶ月目は顧客の稼働率が減るので獲得顧客一人あたりの平均売上は2,100円になっています。
6ヶ月目は1,500円、12ヶ月目は900円としだいに減少します。
一方で平均の累積売上額は6ヶ月で14,930円、12ヶ月目21,690円としだいに積みあがっていきます。
このようにリピートによる売上を特定の期間内で合計したものが累積客単価となります。
この場合、12ヶ月後•初年度の年客単価は21,690円です。
この累積客単価・利益をできるだけ向上させていくのが、新規獲得領域と対となる事業活動である「リテンション領域」(第9章)です。
クロスとリビートの受注単価と受注頻度を上げていけば累積客単価は上がっていきます。
顧客数を数百人程度以上に増やすと平均の期間累積客単価が算出できるようになります。
平均の期間累積客単価は、顧客の初回購入月別の月次売上推移から求めます。
この平均累積客単価を使って短期・中期の収益予測が可能です。
これくらいの新規顧客を獲得すれば、毎月・毎年の売上がこれくらいは得られるだろうと見通せる。
先の例でいえば、250人の新規顧客を獲得すれば12ヶ月後までの年間累積で、約542万5,000円の売上があると予測できます。
初年度年客単価2.17万円X 250人= 年間売上542万5,000円
事業開始後一年たたないと初年度累積の年客単価が見えないかというと、そうではありません。
たいていの湯合、稼働率の大きな低下があるのは初回購入から6ヶ月くらいで、その後は稼働の減衰率は漸減していきます。
初回購入から半年後には初年度平均の累積客単価はおおむね見通せます。
年客単価はあいまいな使い方をされる場合があるので、定義をはっきりさせたほうが良いでしょう。
客単価について「当社の客単価は00円だ」などの表現をお聞きしてとまどう場合があります。
それはどういう意味での客単価なのか。
年商を何らかに定義した稼働客数で割ればザクっとした年客単価は出ます。
そういう数字もおおまかに事業構想する際などで使い道があります。
ただ事業予測や事業採算を検討する際には利用しにくい。
初回購入からリビートする顧客はどんどん減少して1年以上たてば、稼働率が安定します。
ですから初年度の平均年客単価と、2年目以降に稼働した顧客の年客単価は額がぜんぜん違います。
先に提示したような売上計画策定や採算性評価をするためには、少なくとも初年度顧客の累積客単価と、2年目以降の累積客単価は区分して算出すべきです。