認知の獲得活動、認知した人が購入に至るまでの障壁を取り除く活動のKPIを高めるためには、三つのフレームワークを当てはめて考えることをお勧めします。
- WHO:誰には
- WHAT何を買う
- HOW:どのように
この三つのフレームワークは、非常にシンプルかつ実戦向きであり、素晴らしいものです。
是非、実際の業務でも意識して行なってください。
ここではその3つのフレームワークについて簡単に説明します。
WHO:その商品やサービスのターゲットは誰か
マーケティングを行う際にまずに考えるべきことは、その商品やサービスのターゲットは誰かということです。
消費者には、それぞれ異なる価値観やライフスタイルがあります。
そのため個々のニーズは異なってしかるべきであり、その多様なニーズ全てに対して一つの商品で対応できるわけはありません。
ある特定のニーズを商品やサービスが満たしてくれるのであり、万人に対して喜ばれるような商品は、残念ながらこの世の中には存在しないのです。
有限のリソースで特定のターゲットにフォーカス
企業は限られたリソース(ヒト、モノ、カネ、時間、情報、ブランド)などを有効に使わなくてはなりません。
リソースが無限であれば、全世界の消費者をターゲットとして商品やサービスをラインナップし、それに対するマーケティング活動を行えば良いでしょう。
残念ながら巨大な企業でも、あのトヨタ自動車でさえもリソースは有限なのです。
よって、特定のターゲットにフォーカスしなければなりません。
ターゲットはニーズを軸に決める
ちなみに、未だにターゲットを絞る際の軸として、いわゆるデモグラフィック属性(性別、年齢、居住地域)などを使っているマーケットも見受けられますが、ターゲットは人数によって絞り込まれるべきです。
ニーズとは多くの場合、「痩せたい」「傷んだ髪を元に戻したい」「ストレスを発散したい」など人間が持つ「欲」や「悩み」「コンプレックス」「課題」などを示します。
WHAT:顧客にとってその商品やサービスを通じて得られるベネフィット
ターゲットが決まると、次はそのターゲットのニーズを満たしてくれる本質的な価値について考えます。
WHATは簡単にいうと「消費者が商品を買う本当の理由」のことです。
商品やサービス自体をハットになりえません。
WHATとは、その商品が消費者に提供するベネフィットそのものです。
顧客は何を求めてコーヒーショップへ行くのか
もう少し理解するために、具体的な例を一つ紹介します。
スターバックスを例にとってみましょう。
スターバックスは、多くの人がコーヒーショップであると認知しています。
そのためここで言うWHATは、香りや味の良い本格コーヒーなどと思うかもしれません。
しかし、それは間違っています。
スターバックスが提供している顧客ベネフィット(WHAT)は、「上質なくつろぎ空間」です。
スターバックスのゆったりした店内や全面禁煙の澄んだ空気、ゆったりとくつろげるソファ、素晴らしいバリスタの接客と注ぎ込まれる美味しいコーヒー。
それら全ては、顧客に上質なくつろぎの空間を提供するための素材に過ぎません。
スターバックスは自らこう語っています。
サードプレイス~第三の場所~
ファーストプレイスは自宅、セカンドプレイスは職場や学校、そしてスターバックスは、「第三の場所としてくつろぎの空間」であるということです。
スターバックスのように、狙うべきターゲットを持つニーズに対して、その商品・サービスを持つ「根源的な便益」がそのニーズを満たした時、初めてその商品やサービスはターゲットに買ってもらえるのです。
では、マクドナルドのWHATは何でしょうか?
マクドナルドは「おいしいハンバーガーを」提供しているのではなく、「手軽に食べられる食事」というベネフィットを提供しているのです。
そのためこのWHATを見誤ると、「HOW」以下が、全て台無しになってしまいます。
マーケティングをプランニングする上で、このWHATはどう設定するかがとても重要です。
How:顧客便益をターゲット顧客にどう伝えるか
HOWとはWHATをWHOに届けるための手段のことです。
商品サービスそのものがHOWに含まれるのは当然のこと、メッセージやクリエイティブ、ウェブサイト、メール、広告などのコミュニケーション手段もハウの一部です。
企業はHOWを用いてWHATをターゲットに届けているのです。
いくら素晴らしいターゲットを設定し、このうえないWHATを作り出したとしても、それが伝わらなくては意味がありません。
そのためWHO・WHATと同じくらいこのHOWも、マーケティング活動においては重要な要素となります。
大切なのはテクノロジーではなくコミュニケーションの質
デジタルマーケティング携わるマーケットは、マーケティングツールやテクノロジーに目を向けすぎるあまり、マーケティングで最も重要なコミュニケーションの質の部分がおろそかになっているケースが多々あります。
マーケティングの活動における「ターゲットの態度を変容させる」ことに他なりません。
つまり、商品を「買いたい」と思わせることがゴールになります。
したがって、最も大事なことはコミュニケーションの中身であり、質なのです。
本来マーケッターは、その質を向上させるために最も注力しなければならないのです。
ターゲットの深層心理
コミュニケーション質を高めるためには、「消費者インサイト」を狙ったコミュニケーションをプランニングする必要があります。
「消費者インサイト」とは、消費者が意識してない深層心理のことです。
人のインサイト(深層心理)に迫られると大きな感情揺さぶられます。
インサイトは特定のニーズの 深層心理に隠れているため、 ターゲットを決める際には、 デモグラフィック(属性)情報ではなく、ニーズに焦点を当てることが重要になります。
例えば、「食洗器が欲しい」と奥様がいっているとします。
この言葉のニーズは「家事の時間を節約したい」となります。
このニーズを満たすHOWが食洗器となります。